院長コラム
第2回 日差しとの付き合いかた
こんにちは。少しずつ暖かくなり、日差しも強くなってきました。天気が良いと気分もなんとなくウキウキして、お出かけも楽しくなりますが、一方で、「日焼けをしすぎてしまって痛くて眠れない」「日にあたってしまったせいか、シミが濃くなってきたような気がする」という症状がでる方もいらっしゃいます。今日は紫外線とその対策について、お話したいと思います。
太陽光には赤外線・可視光線・紫外線(UV)が含まれています。さらに紫外線はその波長によりA, B, Cの三種類に分けられ、AからCに向けて波長が短くなり、生体への傷害作用も高まります。もっとも波長の短いUV-Cはオゾン層で吸収され、地表には到達しませんが、UV-Bのごく一部とUV-Aは地表に届き、皮膚に様々なダメージを与えます。短期に現れるダメージとしては日焼け(サンタン・サンバーン)、免疫機能の低下、長期的なダメージとしては光老化とよばれる、しみ、しわ、良性ないしは悪性腫瘍(皮膚がん)の発生があげられます。
地表に届く紫外線のうち95%はUV-Aですが、日焼けを起こす力、および皮膚へのダメージが大きいのはUV-Bです。UVBは70%が角層で、そのほとんどが表皮で吸収されますが、このときに、直接DNAを傷つけて細胞にダメージを与えてしまいます。ダメージが繰り返されると、DNAの突然変異が起こり皮膚の良性・悪性腫瘍の発生原因となります。
一方UV-Aは皮膚のより深部(真皮)まで届き、コラーゲンやエラスチンを産生する線維芽細胞に影響をあたえたり、活性酸素が発生することにより蛋白・脂肪・DNAを変性させたりするため、しみ・しわ・くすみに強く関与しているといわれています。紫外線には殺菌作用やビタミンDの活性化などの有益な役割もありますが、皮膚にとってはなかなか手ごわい相手と言えるでしょう。
このような光老化を防ぐためには、紫外線を受ける機会を減らすことが必要です。その方法としては、大きく分けて帽子や日傘、長袖や長ズボンといった物理的な遮光と日焼け止めを用いた化学的な遮光の二つがあげられます。
一般的に帽子や日傘は、紫外線を繊維の隙間から透過してしまう白色の物より、紫外線を吸収する黒い物の方が有効と言われていますが、熱がこもりやすく頭皮の蒸れや熱射病などに注意が必要です。一方、日焼け止めは外用するだけの、比較的簡便な遮光方法です。日焼け止めのパッケージにはSPFとPAという項目が記載してあり、いったいどのくらいの数値を選べばいいか迷われる方も多いでしょう。SPFはSun Protection Factorといい、UBVをどれだけブロックできるかを表します。SPFのあとに続く数値は、日焼け止めをつけずに日に当たったときに赤くなるまでの時間を何倍伸ばせるか、を示しています。つまり、30であれば30倍、50であれば50倍長く赤くなるまでの時間を稼ぐことが可能です。もう一つのPAはUVAの防止効果をあらわしており、+から++++までの4段階で表示されています。日常の通勤や外出にはSPF20~30、PA++を、レジャーやアウトドアにはSPF50、PA+++以上のものを使うのが一つの目安になります。しかし、日焼け止めを使用するうえで、もっとも大切なことは、十分な量の日焼け止めを塗ることと数時間ごとに塗りなおすことです。SPFやPAの数値をきちんと引き出すためには顔の場合パール2個分の日焼け止めが必要とされています。半分の量しか塗らない場合は、日焼け止めの効果は単純に半分になるのではなく、7分の1まで減少するというデータもあるほどです。一度にたくさん塗れない場合は2回にわけて重ね塗りするとよいでしょう。また、いくら強い日焼け止めを塗っても時間がたってしまうと、皮脂や汗で効果が薄れてしまいますので3時間おきに塗りなおすようにしましょう。
紫外線はお肌にとって手ごわい敵ですが、晴れた日にお出かけしたり、スポーツを楽しんだりすることは心身の健康にも必要とおもいます。
紫外線を極端に避けるのではなく、上手に遮光して太陽と上手につきあっていきたいですね。
2015.04.21 深野祐子
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